高齢化が進むにつれて、認知症を発症する人も増えてきています。
認知症とは様々な原因から脳の細胞の働きが悪くなってしまったために障害が発生して、生活していく上で支障が出る症状が現れることです。
認知症の種類にはいくつかありますが、一番割合が多いのがアルツハイマー型で女性に多くみられます。
特殊なたんぱく質による神経細胞の破壊が原因で、代表的な症状としては物忘れがあります。
あとは判断力の低下や見当識障害、介護拒否や物盗られ妄想があります。
脳血管性認知症は脳の血管障害が原因で、男性の発症が多くて症状が一進一退するのが特徴です。
感情失禁が起こりやすく、症状がまだらなので出来る時と出来ない時があることを理解してあげることが大切です。
レビー小体型は物忘れよりも幻視の症状が現れ、パーキンソン病のような症状が出てきます。
身体のバランスをとるのが難しくなったりするので、転倒などに気を付ける必要があります。
中でも診断が難しく、間違いやすいのが前頭側頭型認知症と呼ばれる「ピック病」です。
若年者に発症することが多いようで、この疾患の原因はピック球という異常な物体が大脳に発生して、脳の萎縮や障害が現れることです。
症状としては理性がうまくコントロール出来ずに起こる問題行動で、人格の変化があります。
盗難や痴漢、信号無視など反社会的な行動、何度も同じ動作を行ったり不潔でも気にならなくなる、尿失禁や暴食・異食、失語などが挙げられます。
常同行動と呼ばれる何度も同じ行動を繰り返すのも特徴です。
それらの症状には、その常同行動を逆手に取ったケアで対応するようにしましょう。
入浴や散髪は拒否されないように同じ時間に行う、良い常同行動を習慣にする、同じ行動をすることで先読みして声をかけたり万引き対策として前払いをしておく、ということです。
そうすることで悪い問題行動が抑制されていくようになります。
もちろん病気が原因の行動である為に、悪い問題行動をしてしまった場合には当然本人には責任能力はないです。
そして判断しにくい疾患なので、アルツハイマー型に間違われたり統合失調症と診断されてしまうことがあります。
病気にさえ気づかずに問題行動によって逮捕され、有罪になってしまうこともあるようです。
なので、きちんと診断することが必要になります。
見当識はきちんとしている、時刻表のように同じ時間に同じ行動をする、原因不明の引きこもりや無関心、身勝手な行為や不適切な行動、食物へのこだわりが異常、発語障害や意味障害などがみられる場合はピック病である可能性があります。
治療薬としては、陽性症状が多いことに効く抑制系の薬ならドーパミンを抑制するもの、意欲の低下や落ち込みなどには興奮系の薬を処方してもらうことをおすすめします。
認知症の治療薬であるアリセプトは、前頭葉にストレスをかけてしまうので使用を控えた方が良いです。
介護者はひとりで抱え込まないで、まわりの専門機関や医師に定期的に相談することも非常に大切になります。