認知症は脳の委縮による進行性の病気で、主な症状として中核症状と周辺症状に分ける事ができます。
中核症状とは、記憶を司る障害であり、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解判断力障害があります。
周辺症状とは、昔は問題行動と呼ばれており現在はBPSDと言われいます。
主な特徴として無気力などのうつ障害、せん妄、妄想、幻覚や錯覚、徘徊、失禁、暴言、食行動の異常が挙げられます。
認知症の方が全員上記の様な症状になる訳ではなく、その方の本来の性格やその他の病気による合併症により、色んなパターンの症状が現れます。
服を脱いでしまう行動は、中核症状と周辺症状どちらにも当てはまります。
例えば中核症状の見当識障害は、時間や場所、人物などが分からなくなります。
もちろん季節などの暑さや寒さも認識できない場合もあり、お風呂に入ったかどうかも忘れています。
そこで本人が実際に入浴が済んでいるのにも関わらず、まだ入っていないと認識し、服を脱いでしまう事があります。
また自分の世界を持っているので、周囲が注意しても自分の頭の中の認識が正しいと思い込んで行動に移します。
また失行症状もあり、運動機能とは関係なく目的の事ができなくなります。例えば服の着方を忘れて洋服が着替えられなくなったりするため、何度も脱いでは服を着る動作を行います。
それが周囲の人にとっては、服を脱いでしまう行為に見えてしまいます。
重度の認知症になるとズボンも認識できずに上着の様に頭から被る人も中にはいます。
失行は特に普段の生活で支障をきたし、箸の使い方や家電の使い方まで忘れてしまうので周りのサポートがとても重要になります。
妄想の症状では、盗られ妄想や誰かに危害が与えられるなどの妄想症状が出るため、不穏な状態になり興奮しながら服を脱いでしまう行動も見られます。
周辺症状で考えた場合は、認知症が重度化すると失禁や弄便行為が見られます。
自分の排泄物を手で触ったり、身体や服、壁などに塗りつける行為があるため、その際に服を脱いでしまう事があります。
結局トイレの場所が分からなかったり、排泄物を認識できないための行動になります。
更に服を脱いでそれを千切って食べるケースもあります。
認知症は脳の病気のため、ご飯を食べても満腹中枢が働かず、ご飯を食べた事も忘れている時も多いため、手当り次第周りの物を口に入れる行動があります。
これを異食と呼んでいますが、特に服に付いているタグや、ジャンパーに入っている綿などを食い千切るパターンも多くあります。
その他に服を脱いでしまう行動は、高齢者の場合は肌のトラブルが多く老人性の皮膚疾患も多いので、身体全体に掻痒感が強く現れます。
その際に服を脱ぐ行為は多く見られ寒さもあまり感じない事があります。
この様に脳の病気で中核症状や周辺症状が進行の度合いにより悪化していくため、周囲の介護士や家族は常にサポートしていかないと、重大な事故に繋がる恐れがあります。