日本は超高齢化社会に突入しており、今後数十年は団塊の世代やその子供たちが高齢化となるため、高齢化社会はしばらく続いていくと言えます。
日本が豊かになることや、医療が発達したことによって長生きできるようになったことは素晴らしいことですが、介護が必要な状態になってしまうと様々な難しい問題が起きてくるようになります。
ここでは在宅で介護を行なっている家庭の現実について説明します。
現在の日本は核家族化が進んでいます。そのため、夫婦のみで生活している家庭が非常に多いです。
夫婦のどちらかがが高齢になって介護が必要な状態になると、高齢な配偶者が一人で介護を行なわなければならなくなり、大きな負担がかかります。
高齢になると筋力や骨は弱くなっていきます。そのため、介護によって過度な負担がかかることで介護者が腰痛や骨折などの事故につながることは少なくありません。
また、介護者が女性になるケースでは、自分の体よりも大きな夫を介護することになるので、身体的な負担はさらにに大きくなります。
介護が必要となる動作は日常にたくさんあります。歩行や車椅子への移乗などの移動に関する介助や、食事・排泄・入浴・整容などの日常生活に欠かせない動作の介助がその例です。
特に排泄は一日に何度も必要であり、本人の自尊心を傷つけやすい行為であることから、非常に介護が難しいということができます。
また、入浴は最も介護技術が必要とされる行為であり、水場で転倒による事故もおきやすいため、非常に神経を使う介護なのです。
在宅介護は身体的な負担だけでなく精神的な負担も大きいです。
高齢化にともなって増えてくる病気に認知症があります。
認知症は記憶障害を中核症状として様々な症状が出る病気です。
記憶がなくなることによって火の不始末を起こすようになったり、外出すると道がわからなくなることで帰宅できなくなったりします。
時間も関係なく、夜に不穏な状態になることも多く、介護者は気が休まることがありません。
最近のニュースとして、認知症の人が電車にひかれた事故がありました。
鉄道会社は介護者に監視の責任があったとして損害賠償請求を行なったのです。
この問題は介護者一人に責任があると片付けられない問題です。
国や自治体と住民が一緒になって社会全体で考える必要がある問題といえるでしょう。
では、在宅介護が必要になった場合にはどのようにするのがいい方法なのでしょうか。
一番いい方法は介護保険制度を利用することです。
介護保険制度には様々な介護サービスがあり、認定された要介護度に応じて適切な介護サービスを受けることができます。
思い通りの介護サービスが受けられないケースもあるかもしれませんが、一人で抱え込むことが一番危険なことです。
介護保険を利用する際には、ケアマネージャーからアドバイスをもらうことができるので、信頼できるケアマネージャーを見つけて相談しながら在宅介護を行なうのがいい方法といえるでしょう。
自宅での介護が難しい場合には、老人ホームを利用するという方法もあります。
配偶者や親を施設に入れることに抵抗がある人もいるかもしれません。
しかし、多くの場合は施設を利用したほうが家族関係はうまくいくようになります。
介護の負担がなくなることでお互いに優しくなることができますし、お金をはらってサービスを利用しているので介護してもらう際に遠慮しなくてすむと感じる利用者もいます。
以前は入所が難しかった老人ホームですが、最近ではニーズに合わせて低い利用料で入所できる施設も増えてきており、大きな所得がない人でも利用できるところが見つかる可能性は高いです。
施設を探す場合には、見学や体験入所を行い本人が納得の上で決めるとトラブルを防ぐことができます。