一口に認知症と言っても、その種類はいくつかに分類されています。
そのひとつがアルツハイマーです。
アルツハイマー型の認知症は、全種類の中でも最も患者数が多いとされており、男性よりも女性に多く見られるタイプであると言う特徴があります。
発症の原因としては、脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なタンパク質が蓄積されていくことです。
そのタンパクが蓄積されていくことで脳の神経細胞が破壊され、死滅してしまうために、脳の認知機能に影響が出てきて、それがやがては認知症につながると言うことです。
更に神経細胞が死滅することで脳全体も萎縮していってしまうので、どんどん身体機能が低下していくと言うのも、特徴として挙げられます。
何故、アミロイドβタンパクなどが蓄積されていくかということに関しては、未だ明らかにされていません。
ただ生活習慣病の発症リスクを高めるような生活習慣があると、アミロイドβタンパクなどの蓄積に対するリスクが上がるとも言われています。
ですから生活習慣に気をつけ、健康的な毎日を過ごすことが予防のためと言えます。
特に夜間の睡眠不足は、アミロイドβタンパクの蓄積リスクを上げることが明らかにされているので、毎日、しっかりと夜間に睡眠をとることが重要です。
更にアルツハイマー型認知症に関しては、完治させることはできないものの、症状の進行を遅らせることは可能だとされています。
つまり早期に発見して、然るべき薬などによる治療を受ければ、症状の進行を遅らせることで自分らしい生活を続けることが可能だと言うことです。
ですから早期発見に対しての意識を持つことも、非常に重要です。
アルツハイマー型の場合、最も顕著に出やすいとされているのが物忘れの症状です。
いわゆる記憶障害と呼ばれる症状で、認知症全体でもこれは出やすい症状と言えるのですが、特にこのタイプの場合は、その程度が酷い、他の症状は見られないのに記憶に対する症状だけが強いと言う傾向にあります。
年齢を重ねるとある程度、記憶力は低下していきます。
ですが物事に関わる些細なことを忘れている場合はともかくとして、物事そのものを忘れている場合、そしてそのことを全く思い出せないと言う場合には注意が必要です。
たとえば人と約束したこと自体を忘れていたとか、そのことを本人に確認しても約束した覚えはないと言う場合には要注意と言うことです。
また判断力や見当識に対しての障害も出やすくなります。
料理の際、どんな調味料を、どれだけの量、使えば良いのかがわからなくなるとか、買い物の際に何を、どれだけ買えば良いのかがわからなくなると言った具合です。
そして見当識とは、日時や場所に対する意識のことで、アルツハイマー型の場合、自分が今、どこにいるのかわからなくなるとか、今日の日付がわからなくなると言った症状が出やすくなります。
認知症全体の症状として出やすい徘徊も、こうした見当識に対する障害から発生する不安がひとつの原因だと言われています。
このような症状が見られたり、小さな異変などに気がついた場合は、早めに医療機関に相談をすることが求められます。