認知症は、脳の障害によって細胞が死滅したり、圧迫されて本来の機能を失い、思考、運動、記憶などが上手く行えない症状のことを言います。
脳は、前頭、側頭、後頭と分かれており、それぞれが行う指令をつかさどっていますが、神経により繋がれ連携しています。
認知症はアルツハイマー型、脳血管型、レビー小体型、ピック病などありますが、全体の認知症の約8割以上とも言われているのが、アルツハイマー型です。
原因は、脳内にアミロイドβと言われるたんぱく質が溜まり、脳を委縮させることと言われており、それを治す薬はなく、全世界の科学者が研究を重ね、治療薬の開発に励んでいます。
現在ある認知症の薬は、症状の進行を緩やかにする効果があるものです。
内服者した患者によっては、症状が改善したと言う人もいれば、副作用の影響により、嘔吐などの体調不良を訴える人や興奮状態になり、攻撃的になったりする人もいます。
そのため、精神科の医師に、薬を内服した進捗状況を的確に伝え、少しずつ薬の量や種類を調整することが必要になってきます。
症状を改善させるのは、脳の動きを活発化させることで、弱くなっていた神経物質を刺激し、情報の伝達を回復させることが良いと言われています。
この方法として、脳トレ体操があります。
脳トレ体操は、脳をトレーニング(考える)しながら行う体操であり、例えば、両手で同じ動きをしていた体操を、右手と左手で別々の動きに変えるだけで、脳の働く部位は広く拡大します。
高齢者の方でも簡単にできるものに指体操があります。
数を数えながら指を折っていくだけですが、右手の親指はすでに折っておき、「いち」の号令で人差し指から折り始めます。左手は普通に親指から折っていきますので、右手の指が左手より、ひとつ先に進んでいる状態になります。
一見簡単そうですが、しっかりと脳を使いながら行わないと、いつの間にか、右手と左手がそろってしまいます。
これが脳をトレーニングする方法として、介護施設やデイサービスセンターなどのレクリェーションで取り入れられています。
さらに歌を歌いながらテンポよく行うことで、脳が必死に考える時間ができ、脳内の働きは活発化されます。
できなくても全く問題はありません。
参加することで脳が活発化されます。
また、他者と一緒に行うことで、楽しい雰囲気が出て、失敗しても笑いが起きます。
この笑いも脳への刺激になりますので、楽しんで行うことが大切です。
間違えずに行えるようであれば、難易度を上げます。
両手の動きだけでなく、両足も左右バラバラに動かすことをプラスすることで、更なる脳のトレーニングを図ることができます。
注意点としては、認知症の方は、できないことを隠そうとして、体操を止めてしまうことがあります。
この場合は、本人の自尊心を傷つけないよう、脳トレに参加する人数を少なくしたり、目の前で見本を示して同じ動きを誘導するなどの配慮が必要になります。