高齢化社会が進行し認知症高齢者の人口は年々増加している状況です。
介護保険制度では出来るだけ在宅での介護をすることが目標となっていますが、家庭における介護力や住宅環境には大きな差があり、自宅で生活を続けることは簡単ではありません。
特に認知症高齢者に対する在宅での介護には限界があり、施設や老人ホームへの入所を選ぶことは大切なことといえます。
では、認知症の人が入所できる施設や老人ホームにはどのようなところがあるのでしょうか。
介護保険が適応される施設には特別養護老人ホームと介護老人保健施設、介護療養型医療施設、グループホームの4つがあります。
特別養護老人ホームは重度な介護が必要な高齢者が生活を行うための施設であり、スペースが広めに設定されているのが特徴です。
あくまでも生活する為の施設なため、医療面を重視した人員配置にはなっておらず、職員の多くは介護士となっています。
老人保健施設は医療と介護の中間施設と表現される事が多い施設です。
在宅復帰や他の施設への復帰を目指す為の施設であり、日常生活を行いながらリハビリテーションを行ないます。
スタッフには医師や看護師、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション専門職などがおり、医療スタッフが充実しているのが特徴です。
中には認知症専門棟を設置し、作業療法士によるリハビリテーションに力を入れている施設も多く見られます。
リハビリテーションが目的の施設の為、入所期間が限定されることが多いのが特徴です。
介護療養型医療施設は介護を受けながら治療を受けることが出来る施設です。
将来的には廃止される方針であり、現存している施設から増えることはありません。
長期療養が必要な高齢者や精神症状が顕著に出ている患者を入所対象としており、医師や看護師による治療を受けながらリハビリテーションを行い、病気の改善や精神的な安定を目指す施設です。
3つの中でもっとも医療面に特化した施設と言うことができます。
グループホームは正式名称を認知症対応型共同生活介護と言い入所者は認知症の人に限定され、スタッフによる必要な介護を受けながら共同生活を送る施設になります。
サービスとしては比較的新しく、地域密着型サービスに分類されます。生活はユニットとよばれる9人までの少人数で行なわれ、できるだけ同じスタッフが担当することで顔なじみの関係を作っていきます。
施設は在宅と同じような環境に作られており、スタッフと一緒に料理や洗濯、掃除などの家事を行なったり、趣味を楽しみながら生活を行います。
グループホームでは利用者に対して役割を与え、自分が必要とされていることを実感することで精神的な安定を得ることができ、病気の進行を抑えることが出来ます。
介護保険制度以外では有料老人ホームがあります。
有料老人ホームは民間が運営する施設であり、受け入れ態勢は施設によって大きな差がある状況のため、入所時には施設としっかり話し合うことが必要です。