日本では要介護者が600万人ほどいますが、親の介護をしたくないと考える人が多く問題となっています。
彼らはケアマネージャーや介護福祉士など介護の専門家に親の面倒を丸投げしているので、介護保険制度についてもよく分かっていません。
介護保険では要介護度によって1割負担で受けられるサービスが限られています。
親の介護に真正面から向き合っている人は、介護保険の単位の計算方法などをしっかり勉強しますが、親の介護をしたくないと放棄した人々は全てのサービスが1割負担だと勘違いしています。
実際受けられるサービスより多くのものを要求する傾向があるので、介護に携わっている職員が苦労しています。
現在ケアマネージャーは一人で最大39人を担当しています。
一人ひとりの様子をチェックするために1日1回訪問するのは大きな負担です。
介護の現場が肉体的かつ精神的に辛いと広まってしまうと、介護職を選ぶ人が減ってしまうので要介護者の生活の質が落ちる危険性もあります。
一方で親の介護をしたくない人々も深刻な問題を抱えています。
一般的に介護をしなければならないのは、配偶者や娘が多いです。
夫の両親であっても夫が仕事をしていれば、配偶者が面倒をみることになります。
兄弟全員が未婚の場合、それぞれが実家とどのくらい離れた場所で暮らしているかにもよりますが、ほとんどの家庭で娘が介護を任せられることになります。
女性は筋力が男性より劣っているので、寝たきりの人の体を動かすことはとても大変です。
子供がいれば母親としての役割もあるので、介護と子育ての板挟みになります。
夫や男兄弟に手伝って欲しいと考えても、男性は仕事を理由に断ることが多いです。
中には子育てがひと段落して社会復帰したい女性もいます。
しかし親の介護があると、フルタイムで働くことはできません。
体力のほとんどを介護に使ってしまうと、仕事への集中力がなくなって社会復帰は難しいです。
子育て中はパートをしていて、今から本格的に社会復帰をしようとしていた時に親が倒れるというケースもあります。
自分を産んでくれた親であっても、自分らしく生きる妨げになると問題は簡単には解決しません。
仕事を続けたくて介護もしなければならないという現実に直面すると、ほとんどの人々が特別養護老人ホームに入れることを検討します。
しかし老人ホームに入れるのにはお金がかかるので、資産が少ない家庭はできるだけデイサービスやヘルパーによるサービスを求めます。
親の介護をしたくないならば、デイサービスやヘルパーを利用して受けられるサービスに限界があることを知らなければなりません。
格安で毎日サービスを受けることはできません。
日本には介護を義務化する法律はないので、様々な家庭の事情から介護ができない人は介護の専門家たちの力を借りることができます。
ただし、専門家に丸投げするのではなく、介護保険制度をきちんと理解して自分ができる範囲で親の面倒をみることが大切です。