認知症は徐々に人間らしさを奪っていきます。
これは家族にとっても患者さん本人においてもとても辛いことです。
しかし、特効薬は開発されていません。
病から目を背けた場合には多くの人に迷惑をかけてしまう可能性があります。
認知症における徘徊の問題、それに伴う事故の責任の所在の在り方などは社会問題として取り上げられ、専門家の間でも意見が分かれるほどです。
誰がいつどこで発症するかわかりません。
若いころに元気だったからといって、発症のリスクが低いわけではありません。
厄介なのは身体が丈夫で元気な人ほどトラブルを起こしやすいという点です。
自我を徐々に蝕まれていく認知症は、その時々に至る瞬間的な自覚症状ははっきりとしています。
外に出たい、ご飯が食べたい、誰かに会いたい、という欲求が素直に表れます。
本来ならばそのような欲求を満たすことと理性を天秤にかけて物事を判断することができます。
しかし、認知症の場合は抑制するブレーキがききません。
肉体的に元気な人ほど行動的になり、思いもよらぬ事故を引き起こす可能性があるわけです。
高齢化社会の流れを受けて人々の寿命が延びているのは微笑ましいことですが、同時に認知症の問題は深刻さを増しています。
少子化の流れの中で両親の面倒見る身内の人手が足りず、地域コミュニティの力も弱まっています。
然るべき機関に頼ることはできますが、そのためには相応の費用が必要になります。
八方ふさがりとも思える課題が山積みの中で、実際に患者と向き合うケアマネジャーの存在は、とても貴重です。
人には誰しも自分自身の生活というのがありますので、すべての時間を看病に割くわけにはいきません。
仕事もしなければいけませんし、生活の上でやらなければならないこともたくさんあります。
ケアマネジャーの存在を無くして、患者との共同生活は送ることができません。
重要なケアマネジャーだけに、選び方には慎重さが必要です。
まず認知症のケアマネジャーは大きく分けて医療系と福祉系に分けられます。
年老いた患者であれば薬の投与などが必要になり、万が一のときの応急対応として医療の知識を持つケアマネジャーを選ぶ方が良いでしょう。
しかし、まだ症状が初期の状態で、進行を遅らせることができる可能性が残されている段階では、本人に余計なストレスや負担をかけないようにするための福祉系ケアマネジャーが役に立ちます。
福祉系の勉強をしているスタッフはメンタル系の知識が豊富な場合がありますので、ふさぎ込みがちな患者自身や家族との間を励ましてくれる存在になってくれます。
それぞれのスタッフがどのような雇用形態で働いているのかも把握しておくと良いでしょう。
介護事業所や施設に所属している人なのか、あるいは独立している人なのかという違いがあります。
独立型で仕事をしている人はまだまだ少数のようですが、これから需要は伸びてくると考えられます。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、自分の置かれている境遇に合わせた選び方が大切です。