在宅介護での経済的負担の現実

年々高齢者の数は増えていき、その分、介護を必要とするお年寄りも増加傾向にあります。

 

老人ホームなどに入居し、お世話してもらう人もいれば、家族などが面倒を見る在宅介護を選択する人もいます。

 

要介護認定を受けている人の中で7割ほどが在宅介護を選んでいます。

 

そして、在宅介護を選択する場合、その経済的負担はかなりのものがあります。

 

在宅介護の場合、訪問介護や訪問看護、デイサービスといった介護サービスを受けることになります。

 

どのサービスを受けるかは、介護を受ける高齢者の状況や経済状況によって変わります。

 

要介護認定のレベルによって毎月の利用限度額、自己負担額が変わり、一番軽い要支援1であれば、約5万円の介護サービスの利用限度額、5000円の自己負担額が必要となり、最も重い要介護5では約36万円の限度額、約3万6000円の自己負担額となります。

 

これらの範疇で訪問介護などを受ける場合には介護保険の対象となりますが、限度額を超えてからの介護サービス代や保険外の介護タクシー、家事代行のサービスといったものはすべて自費です。

 

このため、介護における自己負担額は月々3万円から5万円と言われています。

 

実際に介護をしてもらう期間は平均するとだいたい5年程度というデータがあり、毎月5万円ほど、これが5年間続くと仮定した場合、介護費用として300万円近くかかることになります。

 

施設に入ると、これに毎月の家賃相当分と生活費が加わるため負担はさらに増し、介護費用だけでさきほどの数倍まで膨らむことになります。

 

そこまではさすがに手が回らないということで多くの人は在宅介護を選択し、老人ホームに入居する人が大多数という状況にはなっていません。

 

元々、介護保険は家族の手助けを前提に制度設計されており、家族に全く頼らないでやるとなると月に10万を超えるのは当たり前になっていきます。

 

そのため、結局誰かは在宅介護のために休みを返上して取り組むことを余儀なくされるのです。

 

こうしたことを踏まえたうえで元気なうちから民間の介護保険に入り、将来に備える人も急増しています。

 

とはいえ、若いうちから要介護認定を受けることを前提として保険に入る人は少なく、多くの人は定年後、もしくは60歳を過ぎてから加入する人が大半を占めます。

 

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在宅介護を行う場合、介護費用だけで毎月5万円かかり、そこに家族の生活費などがのしかかります。

 

介護を受ける高齢者に年金がある場合はそれを介護費用の足しにすることになりますが、それでも足りないというのが現状です。

 

介護を受ける高齢者の寝具やおむつ、衣服代などもかかりますし、介護用ベッドや車いすのレンタル料、持病があれば医療費もかかってきます。

 

歩行が困難になり車いすを利用するとなると、バリアフリーに対応するために家をリフォームする必要性が出てきます。

 

それらの費用は莫大なものになります。

 

これに加えて、家族の精神的な負担もかかってきます。

 

介護する子供が独身であれば仕事量をセーブせざるを得ず、介護に付きっきりとなるため収入も減ってしまい、自らの将来に備えることがままならなくなります。

 

夫婦で対応するにしても、今までしていた奥さんのパートをやめるか、パートの出番を減らして介護と一緒にしていくかの選択を迫られ、結果として家族全体が疲弊する状態となってしまいます。

 

毎月3万円から5万円ほど介護費用だけでかかると言われてもピンときませんが、それ以上の経済的な影響、そして経済的な負担が予想されます。

 

本来得ていたはずの収入を削ってまで介護に臨み、本来休日に充てていた時間も介護に使われることで経済面、精神面での負担が大きくのしかかります。

 

介護を受ける高齢者と家族の身体的、経済的、時間的、精神的状況を踏まえて、在宅介護をするのか施設を利用するのか決断しないといけません。

 

身寄りのない独身の高齢者が今後増えることが予想されていることから、家族の介護を前提とした制度を見直し、幅広い形での対応が求められていますが、改善されるにはかなりの時間を要するでしょう。

 

介護費用のために、5年間は対応できるだけの貯金を最低でも作らないといけないことが、在宅介護における経済的な負担を印象付けています。

 

 

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