母や支えてくれた方々に感謝

脳梗塞から認知症に

私の母は83歳で認知症のため介護施設に入所し6年目になります。現在は、介護5で寝たきりの状態です。

 

母は認知症を患う前から変形性膝関節症で右膝に人工関節をいれており、若干、歩行が不自由でした。それでも、日頃からリハビリをかねて自分で歩いて買い物へ行ったり、デイサービスに通ったりしていました。

 

そんな元気な母でしたが、少しずつ言動におかしな様子がみられるようになりました。

 

夕方なのに朝と勘違いしてデイサービスへ行ってしまったり、掃除や片づけなどの日常生活が無頓着になってきたり、そんな母を私たち家族は高齢者だから仕方がない、その程度の認識でいました。

 

ある日、いつものように買い物に出かけた母の帰りが遅く、心配になった私は母を探しに行こうとしたとき、主治医がいる病院から連絡がありました。

 

母は外出先のスーパーで倒れ、その場で介抱して頂いた方にタクシーを手配してもらい、自力で主治医がいる病院に行ったようです。

 

私は急いで病院へ向かい主治医から母の様子を尋ねると、脳梗塞の疑いがあるとの事。しばらく入院して検査をすることになりました。

 

それから5日後に母の診断結果がでました。脳梗塞の跡がいくつかみられ、また脳の萎縮があるとのことでした。

 

主治医から脳梗塞の後遺症で左半身が不自由になるおそれと、認知症の疑いを指摘されました。認知症と聞き、最近の母の様子と合点がいきました。

 

私はショックを受け、脳梗塞の後遺症がどのくらい残るか気がかりでした。

 

寝たきりになってしまうのか、また歩けるようになるのか、この先どうすればよいのか、悩みはつきませんでしたが、しばらく母の様子をみる事しか出来ないと思いました。

 

進行する認知症

母の脳梗塞の後遺症はもともと不自由だった歩行を、さらに困難な状態にしました。

 

何かに掴まっていないと倒れてしまうので、家の中のあちこちに手すりを設置しました。

 

また、介護用ベッドと歩行器、デイサービス用の車椅子を用意しました。

 

母はベッドの上にいることが多くなりましたが、相変わらず外出はしたがるので、歩行に慣れてきた頃から車で買い物に連れていったり、公園を散歩させたり、なるべく家に籠もらないように注意しました。

 

その頃、私の父は末期癌で入院しており、母を見舞いに連れて行くこともありました。父には母の認知症を話しておらず、母も父の前ではいつも通りの母でした。

 

それから3ヶ月後、父の様態が悪化し、長い闘病生活が終わりました。

 

私は母の代わりに父の葬儀を行い、身の周りの片づけなどを済ませている間も母は気丈に振る舞い、亡き夫を見送っているようでした。

 

しかし、49日を迎える頃に母の様子が変化し、父の墓前でも誰が亡くなったのか理解できていないようで、しきりに父の事を気にするようになりました。私はその都度、父はすでに亡くなった事を母に話しましたが、その時は理解してもすぐに忘れてしまいます。

 

それから、母はずっとベッドで寝ている事が多くなり、外出も週に二度のデイサービスへ通う時だけになりました。

 

これからの介護を考えて出した結論

ある朝、母がベッドのそばで倒れていました。夜中にトイレに行こうとして転倒し、起き上がれずそのまま朝になってしまったようです。

 

母はそこで失禁し、冷たい体のまま一晩を過ごしていたことに、私はショックを受けました。

 

母は人の介助なしでは起き上がることも出来ない、もし、私が居ないときに何かあったら、私の頭の中は不安だらけになり、以前から考えていた施設の入所を真剣に考えるようになりました。

 

私は、母のケアマネジャーに会い、これまでの経緯と施設の入所を相談しました。

 

その頃、母は介護3でしたが、次回は介護4になる可能性が高く、24時間の介護が必要になるのは明白でした。

 

それらはケアマネジャーも理解しており、母の主治医が経営する24時間介護サービス付きの高齢者向け賃貸住宅に入所する計画になりました。

 

私は母に施設への入所を説明しました。食事の用意や入浴、トイレ、洗濯などの身の周りのことなど、これからの母に必要な事を話すと理解をしたのか、ただ黙ってうなずくだけでした。多分、私の負担も母なりに考えていたのだと思います。

 

あれから、6年が経ち母の認知症も進行しました。筋力も落ち、寝たきりです。食事も刻み食になり、普段の酸素マスクが欠かせません。

 

週に一度、施設へ母の食事の介助に行きますが、子である私の認識も出来ていないようです。

 

私にはそれが寂しいですが、ときどき母が「ありがとう」と言ってくれます。

 

私たち家族を忘れたとしても、母には残りの時間をおだやかに過ごして欲しい、ただそれだけが願いです。

 

介護を通じて、母や、支えてくれた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

在宅介護での肉体的負担の現実

 

 

コメントを残す