介護サービスを受けるには、要介護認定が必要となります。
要介護認定とは、介護サービスを受けたい高齢者などがどれくらいの状態で、日常の生活にどれほどの支障をきたしているのか、それをランク付けし、そのランクに応じた介護サービスが受けられるようにするために行われています。
こうした認定には、要支援と要介護、合わせて7段階あります。
一番軽いのは要支援1で、生活機能の一部に若干の低下がみられる場合に適用され、要支援2では若干の低下から低下に段階の表現を踏みこんでいます。
要介護1では、歩行などの部分的な介護が必要な場合、要介護2ではその対象が、歩行、食事、排泄に拡大され、要介護3から上は全面的な介護を要する、中程度以上のものとなっていきます。
しかし、これらはあくまで平均的なものであり、市町村によってはバラつきがあるのが現状です。
特に調査員や地域によって要介護認定に個々にバラつきが出てしまうことには色々と問題があります。
要介護認定を行うプロセスとして、まずは市町村の窓口で申請を行うことになります。
その後、コンピューターで軽く判定し、その後、介護認定審査会が2次判定を行い、最終的な認定を行います。
コンピューターの判定の前に調査が行われるのですが、その調査をするのは市町村から委託を受けたケアマネージャーなどです。
その際の質問が極めて簡単で、形式的なものであることが多く、実態を把握した上で決められているのか、介護者やその家族が不安に感じることが多々あります。
その後、専門家を集めた介護認定審査会で決めることになりますが、実際に会った調査員が作成した調査票を見て、申請した人と会ってない担当者が決めるということがあり、そもそも制度に限界があることが指摘されています。
特に認知症の人はすぐには見抜けないことが多く、審査の結果、自立している、自立できていると判定され、支援が受けられないということも起こります。
不当な認定ではないかという異議を都道府県に申し立てを行うことはできるものの、その結果が出るのは3カ月とかなり時間を要するのも問題点の1つです。
そのため、申請の件数は少なく、しかも、その申請が認可されたのは全体の3割と少ないのも拍車をかけています。
また、地域差の問題もあります。
認定率が数倍の差となっている項目があるなど、都道府県によってはかなりの差となっている場合があります。
財政難のところだとなるべく介護サービスを利用する人を少なくするために認定を厳しくしているところもあり、そうしたものも地域差の要因となっています。
調査段階であえて症状を重く申告して、要介護レベルを高めようとする向きもあり、根本からの制度改革が必要と言われています。
現在は高齢者の状態を見て判断されることが多いですが、例えば住宅がエレベーターのない5階にある、身寄りがない、お金がないなど様々な条件が考慮されずに認定されることもあり、そのあたりのケアも必要となっています。
また7段階があまりに多く、もう少し少なくしてもいいのではないかという意見も出ています。
要介護レベルが高いと、それだけ自己負担が減り、様々な介護サービスが受けられるようになります。
最近では総合事業というサービスが地元自治体で行われ、認定を受ける前にそちらを利用するよう指示される場合もあります。
要介護認定は国民の権利でもあります。そして、どこに住んでいても同じようなサービスが受けられなければなりません。
高齢化社会に向けてこうした取り組みが始まって20年程度ですが、誰もが納得しやすい制度、そして、分かりやすい運用、地域差などのないものが現在求められています。