3年ほど前に夫を亡くし、現在は息子夫婦と一緒に暮らしていたAさん。
ある寒い日の朝、Aさんは、日課の散歩に出かけるために、息子夫婦が仕事に行くのを見送った後、いつものように家の横の歩き慣れた小さな坂を下っていました。
もう少しで下りきる、その時、Aさんは転倒し、倒れて頭を打ってしまいました。
転倒から数時間後に頭から血を流している状態で見つかったAさん。
すぐに病院に運ばれ、治療してもらい、幸い、怪我は大腿骨の骨折のみで、脳への後遺症等は有りませんでした。
しかし、運ばれた病院が救急病院だったため、大腿骨骨折が完治する前に転院することを承諾させられました。
家の近くには長期入院させてもらえるような病院は無いため、介護施設への入所を検討してみてはどうか、と提案されました。
この時、ポイントとして確認すべきことは、
病状にもよるが、こちら側としてはどのくらいの期間の入所を検討しているか
入所への抵抗
医療費負担額
入所施設に求めるサービス
の4つです。
Aさんは怪我をする前から、週に2回ほどの頻度でデイサービスを利用していたこともあり、入所への抵抗はない様子。
持病は、高血圧と脂質異常症。
服薬は朝夕で5錠ずつ。
大腿骨骨折が完治すれば、また元のような生活へ復帰することができます。
内疾患的にも、服薬をしっかりしていれば大丈夫そうなので、そんなに医療費負担はなさそうです。
ただ、大腿骨骨折ということから、ご本人の意欲やリハビリの質によっては、完治しても元のように歩いたりできなくなる可能性があります。
そのため、しっかりとした医学的なリハビリを受けるために、特にその点に特化している施設が良さそうです。
どの程度のリハビリなのか、誰が訓練をさせているのか(介護職員、介護有資格者、理学療法士、など)を確認する必要があります。
仮に、医学的サポートの徹底していない施設だと…
『毎日歩行訓練をしています。』と言っているものの、実際は、介護職員と一緒に施設内の移動をすること自体を歩行訓練と呼んでいたり、歩行時の姿勢や足の運び方などにはあまり注意を払っていないまま歩行訓練をしている場合があります。
「この職種の職員さんがいれば大丈夫!」と断定できるものではありませんが、選ぶポイントのひとつとして、リハビリに必要な職種の勤務人数や勤務時間、リハビリの頻度や勤務形態を確認してみるのは、大事なことです。
以上の点を踏まえて、「特別養護老人ホーム」(特養)、「介護老人保健施設」(老健)、「介護療養型医療施設」の3つから選ぶとすると…
入所できる期間は短くなりますが、医療サービスがすぐそばにあり、医師からの指示を受けた専門職の方からリハビリサービスを受けられる、「介護老人保健施設」(老健)が良さそうです。