最近、高齢者ドライバーによる交通事故が相次いで起きています。
事故を起こしてしまったお年寄りの中には、認知症の診断を受けていたり、発症を疑われる人が多くいます。
なんらかの原因によって脳の機能が低下することにより、記憶力や判断能力や低下してしまいます。
また周辺症状と呼ばれる症状により、危険な行動や暴言・暴力なども表れます。
交通事故に限らず、徘徊して行方不明になったり火事を起こしてしまうなど、病気がもたらす様々な影響は大きな社会問題になりつつあります。
認知症をもつ高齢者の数は、平成23年の時点で約462万人と推計されています。
さらに、2015年に厚生労働省が発表した予測によると、この数が平成37年には700万人に達するとのことです。これは、65歳以上の高齢者のうち5人に1人以上が発症してしまう計算となります。
日本は世界有数の長寿国であると同時に、超高齢化と少子化の進んだ国でもあります。
目が離せないような症状を持つお年寄りが今後も増え続けていくとしたら、家族だけで支えていくことは到底不可能です。
そこで、誕生したのが、「認知症サポーター制度」です。
この制度は厚生労働省が平成17年度から取り組んでいる、「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」構想の一環として行われた「100万人キャラバン」がそのスタートでした。
病気に対する正しい知識と理解を持って、自分の住む地域で患者さんやその家族に対して手助けするために、「一般の人」にサポーターとして活動してもらおうという取り組みです。
決して何か義務を負うということではなく、あくまでも出来る範囲での手助けで良いとされています。
認知症サポーターには、養成講座を受講することでどなたでもなることができます。小学生でも大丈夫です。養成講座は全国の1700を超える自治体で定期的に開催されています。
学校や企業向けにも数多く開催されています。100万人を目標に始まった取り組みは、平成28年12月現在、サポーター数830万人以上、養成講座開催数延べ25万回以上と、全国的に大きな広がりを見せています。
サポーターに求められることは、決して特別なことではありません。
1 病気そのものや患者さんに対して、正しい理解をもち偏見をもたないこと。
2 発症してしまった人やその家族を温かい目で見守ること。
3 近くに患者さんで困っている人やその家族がいたら、無理せずにできることを実践すること。
4 自分の地域でできることを探すこと。
5 まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍すること。
などです。
あなたも養成講座を受講して、一緒に活動してみませんか?
受講をご希望される方は、今在住または在勤・在学されている自治体に事務局があるかどうかお問い合わせ下さい。
事業の運営は全国キャラバンメイト連絡事務局が行っていますので、そちらのホームページからも開催情報を調べることができます。
認知症は長生きしていれば誰にでも起こりうる病気です。どんな人でも住み慣れた場所で穏やかに暮らしていけるように、地域の中から支え合う取り組みができるとよいですね。