認知症は年齢が70歳以上を超えて徐々に発症することが多いとされています。
さらに、アルツハイマー病や脳血管性など原因も様々です。
そして、その多くは孤発性、つまり明らかな原因なく、たまたまその人が罹患してしまったとされています。
原因はまだまだ研究されつくされているわけではなく、わかっていないこともたくさん残されていますし、根本的な治療が開発されているわけでもありません。
ですから、正確なことはこれから研究が進みわかってくると考えられます。
ただ、現時点でわかっている事として、多くはないけれども遺伝するようなタイプもあるとは考えられています。
では、そのような認知症についてどのようなものなのか、症状の特徴などについてみてみましょう。
まず、遺伝性の認知症は家族性アルツハイマー病とも呼ばれています。
症状の特徴として通常は70歳以上になって発症することが多いアルツハイマー病などと比較してみると、発症年齢が早い傾向があるようです。
おおよそ50歳台のまだまだ、高齢化の進行している日本では若くてバリバリと働いている時期には発症してしまうのです。
さらに病状の進行が早いことも特徴です。
ですから家族性アルツハイマー病が疑われたときには、特に患者やその家族など介護する側への配慮が必要になってきます。
そして、家族や親せきにアルツハイマー病に罹患してしまった人が多く見られます。
これらが家族性アルツハイマー病の特徴ですが、ここで大事なのが発症年齢です。
ご両親や、祖父母の方が続けてアルツハイマー病であったとなるとご自身のことも心配だと思われます。
親族の発症が70歳以上の高齢になった時であれば家族性である可能性は強くはないと現在では考えられており、たまたま、家族に罹患した人が多くなったと考えられるでしょう。
高血圧や高脂血症は遺伝性も指摘されています。
これらの疾患が家族性にあればその疾患が原因となって脳血管性の認知症などへ進行してしまうことが家族性に発生することは十分に考えらえます。
ある意味では遺伝する疾患ですが、生活習慣や食生活なども強く関連しており、家族性のアルツハイマー病とは明らかに異なるものですから、しっかりと区別する必要があります。
もちろん、研究が進んで、遺伝子異常が見つかりその異常があると家族性に高齢になって認知症が発症するということがわかってくる可能性は否定できません。
このような家族性アルツハイマー病に関しては遺伝子の検査も行えるようになってきました。この検査はどこでも行える検査ではありません。
若年で認知症の症状が出現して、家族性アルツハイマー病が疑われる場合にのみ行われる検査です。
というのは現時点で家族性アルツハイマー病の治療方法はありません。
進行も比較的早く治療法がない病気を診断してもそれ以上のメリットがあまりありません。
保険が適用される検査でもないので患者への高額な費用負担も発生します。
そのうえでどうしても原因を知りたい、あるいは今後の準備を早くしておきたいというような強い意志がある患者さんに限られる検査になるのです。