近年認知症を理由とする事故や事件がとても多くなりました。
事故は自宅の外に出て徘徊中に車に轢かれたり、線路に進入してはねられたりすることが多いでしょう。
また、症状が出ているにも関わらず自動車の運転を継続しており、衝突事故や通行人を轢いてしまうような加害者になっているケースも多く見られるようになりました。
事件では、認知症を患っている配偶者の介護が困難になった末に、無理心中を図ったり配偶者を殺害してしまうなど痛ましい事件も起きています。
そのような問題が起こっている背景には、介護する側が孤独になっているというケースがあります。
病院以外の外出もままならず、介護が必要な配偶者と二人きりの生活で相談したり、助けてくれる人がいないなど介護を継続することが困難な心理状況になっている可能性があります。
国の制度では十分な援助を受けられず、ヘルパーや介護施設への入所などができず、自宅での老老介護が続いているケースが多く、介護する側に大きな負担がかかります。
今後も高齢化社会が進み、老老介護の問題は大きくなるでしょう。
国の保障制度の見直しも必要です。
しかし、介護疲れが原因の痛ましい事件が後を絶たないのが現状です。
そのような事件を減らすためには、介護者の精神的、肉体的負担を軽減することが必要です。
週に1度ヘルパーに身の回りのお世話を頼むことができるのであれば活用します。
もし要介護認定を受けている場合は、等級に応じた介護サービスを利用することができます。
もし、そのような制度の利用に関してわからない場合、役所などへ相談したり、住んでいる地域の「地域包括支援センター」などに相談することが大切です。
利用できる制度やさまざまな相談をすることができます。
また、そのような問題を解決するためには、近隣の人の声かけも大切なことです。
介護をしている家族は、外出が減り近所の人とのコミュニケーションが少なくなります。
そのため孤独感が強くなることもあります。
最近では、高齢者が多く住んでいる地域を中心に、自宅へ訪問したり様子を確認する見回りのボランティアを行う地域もあります。
認知症患者である家族以外とのコミュニケーションは精神的な部分の負担が軽減されます。
介護する側の人にとっては誰かに話しを聞いてもらえるだけでも、孤独感は軽減されます。
認知症患者の介護はとても大変です。
会話ができず、行動もエスカレートすると暴行や暴言などが見られることもあります。
必死に介護しても報われないという辛い気持ちや、認知症を抱える家族を不憫に思うなどから無理心中をしてしまうケースは、このような地域の支援や国の支援制度が充実することで防ぐことができるものです。
医療の進歩で平均寿命は長くなっています。
しかし、その分、認知症を患っている人も数も多くなります。
また、高齢の配偶者による老老介護も多くなります。
もし、介護をすることになった場合、積極的に誰かに相談をして孤独にならないようにしましょう。