認知症の運転について

近年、高齢化社会が進んでいることもあり、高齢ドライバーの数も増加傾向にあります。

 

そのため、高齢ドライバーによる事故も増えてきているのが、現代社会における問題になりつつあります。

 

■高齢ドライバーによる最近の主な事故(年齢は当時)

【2016年】

・3月3日 群馬県高崎市で73歳男性の乗用車が小学生の列に突っ込み、男児が死亡

・7月21日 福岡県大牟田市のスーパーに84歳男性の軽乗用車が突っ込み、3人が負傷

・10月28日 横浜市で87歳男性の軽トラックが小学生の列に突っ込み、男児1人が死亡、7人が負傷

・11月12日 東京都立川市の病院敷地内で83歳女性の乗用車が暴走し、2人が死亡

【2017年】

・2月7日 さいたま市で81歳男性の軽乗用車が別の車と接触事故。事故処理中に急発進し、1人が死亡、警察官が負傷

・4月21日 埼玉県入間市のショッピングセンター駐車場で76歳女性の車が他の車に追突するなどし、1人が死亡、5人が負傷

朝日新聞社

 

この高齢ドライバーによる事故の背景には認知症があり、近年はそうした高齢者による事故を少しでもなくそうと運転免許の早期返納も推奨されています。

 

その認知症ですが、脳血管性のものとアルツハイマー型のものの2種類があり、高齢者においてはアルツハイマー型が多数を占めています。

 

このアルツハイマー型というのは脳の萎縮によって生じるもので、多くの場合、成人になる頃には萎縮が始まり、高齢となる頃に症状として表れるようになっています。

 

現時点では、これを治す薬はなく、進行を遅らせる薬がある程度です。

 

そして、一度萎縮してしまった脳は現代医学をもってしても元通りにすることもできません。

 

このように認知症の症状は徐々に進行していくものですが、本人には実感はなく、健康診断等をしたとしても、血圧や血糖値のように数値で現れるものでもないため、発見が遅れやすいものでもあります。

 

唯一、症状の進行を発見ことのできるものとして、長谷川式簡易スケール検査やMMSE、COGNISTATと呼ばれる心理検査があるぐらいです。

 

これらの検査は精神科病院にて、常駐している臨床心理士によって実施されます。

 

そして、この心理検査で一定以上の結果を出すことができなければ、進行している証拠となります。

 

では、心理検査の結果によって進行していると判断されると、具体的にどのような状態になっているのでしょうか。

 

このような場合、まず、運転する上で絶対的に必要とされる注意力、集中力が欠けている状態にあります。

 

そのため、目で確認することも遅れ、信号を見落としたり、周囲の自動車の存在、歩行者の存在を確認できず、重大事故につながる恐れがあります。

 

また、時間、場所、自分自身のことといった情報が欠如し、どこにどういう目的で運転しているのかもわからず、無駄に自動車に乗ったまま徘徊することとなり、事故を起こす確率がますます高まっています。

 

しかし、このような状況にもあるのにも関わらず、当事者である本人は運転免許を手放そうとはしません。

 

というのも、これまで自動車による恩恵を十分に受けたので今更、公共の交通機関を利用する気にならないということの他、免許の返納をすることイコール認知症高齢者のレッテルを貼られることとなり、プライドが傷ついてしまうからです。

 

こうしたことから、近年は政府でも、早期返納を行うことのメリットや特典を付けることを積極的に展開するようになっています。

 

自治体によっては早期返納することでお金がもらえたりすることもあるようです。

 

また、高齢ドライバーによる事故を起こした後、刑務所等でどう過ごすのかという映像を見せる等啓蒙活動を行う自治体もあります。

 

いずれにしても、運転技術に自信がないのなら、一度、心理検査を通して調べてみるのも良いかもしれません。

 

認知症の方が引き起こした事故が問題になっています

 

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