介護保険、介護サービス、介護疲れ、老老介護などなど介護のニュースを聞かない日はありません。
職場や友人との会合でも介護が話題になることもあるでしょう。
しかし自分の親のこととなると「まだまだうちの親は元気だから」と、先のことについて深く考えるのを避けてしまっていませんか?
ご自身の親御さんはお元気でも、配偶者のご両親は近々介護を必要とするかもしれません。
そしてその逆も当然起こり得ます。
悲しいことに、親の介護がきっかけで夫婦が離婚するというケースが後を絶ちません。
もともと夫婦仲が冷え込んでいたところへ介護問題が降ってわいて、それを機に配偶者が家を出るという場面を想像される方が多いでしょう。
しかし仲睦まじく暮らしていた夫婦でさえも離婚を選択する程までに追い込まれる、親の介護とはそれほどまでに重大で深刻なダメージをもたらすものです。
生涯愛し合うと誓って結婚したのです。
できるだけ添い遂げたいものですよね。
親の介護問題が持ち上がった時に別離を迎えない為に、今からできることをしていきましょう。
まずは自分の配偶者と両親の仲に亀裂が入らないよう、ご自身が間に入ってうまく取り持つことです。
仲良くさせようと奮発して、皆で毎年温泉旅行を企画するといった必要はありません。
長時間共に過ごしているうちに、見えないところで諍いを起こして、かえってお互いの嫌な部分が目についてしまい、結果として逆効果になる可能性があります。
目的はあくまでも、双方が決定的に仲違いせず、つかず離れず友好的な雰囲気を保つということです。
そしてお子様がいらっしゃるご家庭であれば、祖父母と孫が温かく交流するよう見守っていきましょう。
可愛がってくれた祖父母を思う我が子の為にも・・・と配偶者が介護に積極的に取り組む可能性が高くなります。
年老いたご両親にとっても、お孫さんの存在は一番の元気の源となることでしょう。
何より重要な点は、自分の親の介護は自分が担うという当事者意識を持つことです。
「長男の嫁だから」と言って奥様に丸投げなどもってのほか、一番してはいけないことです。
奥様にも親御さんがいるのです。嫁に来た身なのだから自分の親よりも舅や姑の介護をしなければならない、と説得された奥様は「それなら嫁をやめて実家に帰り娘に戻って自分の親を介護します」と仰るでしょう。
お子様からも冷たい目を向けられることは避けられません、お子様からしてみればどちらも大事なおじいちゃんおばあちゃんなのです。
双方の親を大事にして、優先順位をなるべくつけず平等さを心がけなければなりません。
介護は実子全員で公平に負担し、その配偶者をあてにしてはいけません。
自分たちが一生懸命老親を介護する姿を見せなければ、配偶者の心に響いて協力を申し出るといったことは起きません。
親兄弟は血のつながりがありますが、配偶者は紙切れ一枚でいつでも他人になります。
自分の親を思いやるのと同じように、配偶者の親を思いやる・・・その心こそが夫婦の仲をあたため、親の介護問題による離婚を遠ざけます。