認知症は、脳の萎縮や事故などの外傷性の後遺症により起こる病気です。
事故などが原因の場合は、初期症状の段階でも、もしかしたら事故が原因で脳に異常が出ているのかもしれないと予測ができることもありますが、原因が不明の場合は、高齢によるただの物忘れなのか認知症による初期症状なのか分からない場合がほとんどです。
その為、初期段階においては、家族や友人など周りの人々の配慮が大変重要となってきます。
認知症は、現在の医学では治せる病気ではありません。
ただ、症状の進行を遅らせる薬やリハビリ治療があるので、なるべく早めの診察が大切です。
少しでもおかしいと感じた時は、家族などが受診を促すことが必要なのです。
しかし、簡単に見極めることは難しいし、万が一違って本人を傷つけてしまうのが怖いという方もいらっしゃると思います。
認知症の初期症状かどうか、食事を例に見極めるポイントを紹介します。
食事は毎日繰り返しとる行動であり、習慣として身についているものです。
行動や発言が何かおかしいと思ったとき、何気なく「今日の朝(あるいは昼、夜)何を食べたっけ?」と尋ねてみて下さい。
何を食べたか思い出した人、思い出さなくても何を食べたか考えている人は、一時的に物忘れをしている場合がほとんどです。
注意すべきなのは、「食べたこと自体を忘れている」場合です。
つまり認知症の場合、何を食べたかを忘れるのではなく、食べているのに食べたことを忘れてしまうのです。
もちろん個人差があるので一概には言えませんが、注目すべきポイントの一つであると言えます。
家族や周りの人々が、症状の疑いを感じ始めたとしても、本人自身は気づいていない場合がほとんどです。
その為、いきなり病院へ行こうと言ったり、症状についての話をすると本人は驚いたり不安を感じてしまいます。
周りの人々も心配で平常心を失ったり、現実を受け止めきれずに「まだ大丈夫だろう」と一歩を踏み出せないこともあります。
また、忘れられていくもどかしさから、本人を責めてしまう人も中にはいます。しかし、この否定的な接し方は一番やってはいけないことなのです。
では、どのように対応していけばよいのでしょうか。
まずは、周りの人々が認知症という病気をしっかり理解することが大切です。
とても複雑な病気の為、病院での治療や薬だけではなく、周りのコミュニケーションの取り方も重要になってくる為です。
不安になったり、悲しくなったりするのは当たり前ですが、その気持ちを本人が受け止めてしまうと、自分の殻に閉じこもってしまう場合もあるのです。
また、できなくなってしまったことをつい責めてしまうと、症状が悪い方向に悪化したり人格が凶暴になってしまったり等の悪循環が発生してしまうこともあるのです。
本人の行動や発言がおかしいと思っても否定をせずにまずは「受容」をし、なるべく早めに専門の医療機関へ相談をすることが、症状の初期段階において重要になってくると言えるのです。