老人ホームとは高齢者が入居する施設であり、日本では有料老人ホーム、老人福祉施設の2つが該当します。
老人福祉施設には、デイサービスや短期入所施設、養護老人ホームや特別養護老人ホームまで含まれています。
では、有料のそれと、養護、特別養護の違いはどこにあるのでしょうか。
これらの違いは、誰が運営しているかによって違ってきます。
民間企業が運営するものが有料老人ホーム、地方公共団体や社会福祉施設などが運営するのが特別養護という形になっています。
目的もこの2つでは違い、特養のように要介護レベル1以上であり、寝たきりなどの緊急性の高い人から優先的に入り、入所するまでに数ヶ月から数年も待たされるケースと違い、民間企業が運営している方であれば要介護レベルにある方はもちろんのこと、その下の要支援レベルの人、そして、これらの指定を受けていない元気な人でも入居することができ、ホームに空き室があればすぐに入居することができます。
特養の場合、病気などにより自力で生活できない人、家族による介護を受けられない人、在宅介護のサービスが受けられない人などを対象にし、食事や排泄などの日常生活の世話や介護保険が適用されるケースの相談などを行える施設であり、そうしたことから、自立して生活できる人、在宅介護サービスを受ければどうにかなる人などは対象とならず、こうした人で今後の生活に不安を抱えている人は要介護レベルになるのを待つか、民間企業が運営するホームに入所するしかありません。
ここ最近は要介護認定者が増えていることもあり、原則として要介護レベル3以上の人を受け入れ、要介護レベルが1もしくは2の人は認知症などの要素がない限り、入所が認められない状態になっており、今後有料老人ホームにこうした人が流れる可能性もあります。
費用面の違いですが、民間企業が運営するホームの場合、終身利用として入所するときに一括で払うパターンや月々の支払いでOKなパターンなどさまざまです。
終身利用として入所する場合には数百万円から1000万円を超える入所一時金を支払うことになり、その高額な入所一時金をめぐってトラブルになるケースも出てきています。
また、月々の支払いでも15万円から20万円という具合になっており、年金だけではなかなか工面できず、今までの貯金や親族からの援助で暮らしている人も少なくありません。
その代わり、ホーム自体が新しく、きれいな環境の中、個室で暮らすことができるだけでなく、食事もしっかりしており、看護体制なども万全で一生暮らしていくのに困らないような形になっています。
特養はその点、入所一時金というものはなく、月々5万円から10万円、多くかかっても15万円というところが多い状態です。
難点としては建物が古く、部屋も限られ、相部屋であることが多いこと、そして医療体制があまり充実しておらず、夜間の体調の急変にすぐ対応できないといった懸念があります。
あくまで特養は公共性の高い老人介護施設であり、経済的に困窮している人でも入れるような体制になっているため、こうした細かな部分まではなかなか手が回らないというのが実情です。
以上のように、同じホームでも民間が運営しているか、それとも地方公共団体などが運営しているかによって、入所できる基準から利用料金、実際に受けられるサービスなどが全く異なります。
特養の入所基準が今後厳しくなるため、金銭的に余裕のある人は民間が運営するホームへの入所を優先する傾向にあります。
老後に備えてた蓄えを残すにしても、入所一時金を支払って終身的な対応をしてくれるところに合わせた額を目安に蓄えていくことが求められ、比較的早い段階からそうした準備をすることが必要となっています。