介護離職の精神的負担

介護が必要になる年齢は人それぞれです。

 

80代になっても杖なしでキビキビ歩ける人もいれば、60代で一人では歩けない人もいます。

 

個人差はあるものの、一般的には70代半ば頃から介護が必要になってくることが多いでしょう。

 

介護付きの老人ホームに入れる人は良いですが、経済的な理由で入れない人もいます。

 

安い老人ホームほど競争が激しく、何年も入所待ちということも珍しくありません。

 

そうなると、介護は家族が行うことになります。

 

配偶者が元気であれば良いですが、配偶者も同年代であることが多いので、1人で介護を担うのは肉体的に大変です。子供の助けを借りることになるでしょう。

 

しかし、70代くらいの夫婦の子供と言えば、40代や50代が多く、まだまだ現役の世代です。

 

両親共に揃っている場合や、ほかに近くに住む兄弟姉妹がいれば時間の許す範囲での介護も可能でしょう。

 

しかし、そうでないこともあります。近くに住んでいる子供は自分だけ、既に片親であり、その片親の介護が必要になったというケースは多々あります。

 

仕事の合間に片手間で介護をすることは難しくなり、やむなく仕事を辞める人もいます。

 

これがいわゆる介護離職です。

 

介護離職は増加傾向にあります。その理由の1つが少子高齢化であることは間違いありません。

 

子供が少ないため、自分しか介護をする身内がいないという状況がつくられやすくなっています。

 

自分の気持ちで退職をするのではなく、介護を理由に退職を余儀なくされることは、精神的に大きな負担になります。

 

離職をすれば、当然収入がなくなりますので経済的な負担も増えます。

 

つまり、介護離職は精神的、肉体的、経済的な負担が大きくなるという大きな問題を抱えています。

 

 

介護休暇は利用しにくい制度の1つです

離職を余儀なくされるのが、圧倒的に女性が多いという点も社会問題となっています。

 

男性のほうが所得が高いからという理由で話し合って決めたことであっても、自分の親ではなく配偶者の親の介護で退職を余儀なくされるのは辛いことです。

 

介護者が精神的に辛い状態であると、要介護者に対する当たりもきつくなりがちです。

 

一応、大企業などでは介護休暇制度がありますが、利用する人は少ないのが現状です。

 

育児休暇は当たり前のように取得できても生理休暇を取得する人は稀です。

 

このことからも分かるように制度が整っていても利用しやすい制度とそうでない制度があるのは事実です。

 

介護休暇は利用しにくい制度の1つでしょう。周囲に利用者が少ないため余計に取得しにくいという悪循環も生まれています。

 

介護休暇制度を利用しにくいとなると、介護離職者が増えるのも当然です。

 

介護休暇制度の充実は急務と言えるでしょう。

 

介護離職によって肉体的負担も精神的負担も増大する

介護を理由にやむなく離職した人を対象にあるリサーチ会社が行ったアンケート結果があります。

 

それによると、離職によって肉体的な負担が増えたと答えた人が56.6%と答えたのに対し、精神的負担が増えたと答えた人は64.9%にものぼります。

 

肉体的な負担よりも精神的な負担のほうが大きいという結果になりました。

 

これまで働いて社会に貢献してきた人が、仕事を離れて介護に専念するということは、相当な負担になることが容易に想像できます。

 

収入を絶たれ、再就職できるかどうかなど将来への不安もあるでしょう。

 

このように介護離職が与える影響は思っている以上に甚大です。

 

仕事を辞めて収入がなくなるくらいなら、有料老人ホームへの入所も考えてみるべきでしょう。

 

収入にもよりますが、再就職が難しい年齢であることを考えると経済的な負担はそのほうが小さくなります。

 

また、要介護者も自分のために家族が離職するよりは、老人ホームに入所するほうがよほど気が楽かもしれません。

 

 

介護離職の経済的リスク

 

 

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