両親のように身近な人が介護を必要とする状態になってしまうと、自宅介護を行うか施設介護を行うかあるいはその両方を並行していくかということを考える必要が生じてきます。
その際に仕事をしている場合には介護を一緒に行っていくということが肉体的な面や精神的な面、あるいは時間的な面から難しいと判断して仕事を辞めて介護に専念するという人も少なくありません。
介護離職をする人は徐々に増えてきている状況があり、要介護者が増えるにしたがってこれからも増えていくと推定されていますが、それが必ずしも負担を軽減する方向につながっているとは限りません。
よく知られているのは介護を行っていくことによって経済的負担が大きくなるにもかかわらず、収入が減ってしまうために家計が苦しくなってしまうというものですが、ただそれだけではなく肉体的負担も大きくかかるのです。
要介護者の状況は悪化しやすいものです
介護離職をした場合には施設に預けることの経済的負担を考えたり、介護を必要とする身近な人を自分でお世話したいと考えたり、その本人の希望によって仕方なく自宅介護を選んだりするといった様々なケースがあります。
実際に介護を行ってみてから離職をするということもありますが、介護が必要で同居することになると同時に離職をするということもあります。
特にそういったときにはどれだけの肉体的負担があるかということがしっかりと想像できていないことも多いのが現状です。
介護においては、自分で身体が十分に動かせない状況になってしまっているというのがあり、そのためにベッドに横たえたり起こしたりするのにも介助が必要になります。
トイレに行きたいと言ったら身体を起こしてあげてベッドから下りるのを支え、トイレまで連れて行ってあげるということが必要になります。
場合によっては便座に座るのにも支えが必要になり、立ち上がる時にもサポートが必要です。
トイレ1つでもこういった状況になりますが、お風呂はますます負担がかかります。
バスタブに入るために足を上げるということができなくなってくることもあるため、抱えてバスタブに出し入れしてあげることが必要になるのです。
こういった状況が自宅介護を始めた頃にはそれほど肉体的負担と感じない場合もあります。
しかし、だんだんと状況が悪化してしまいやすいということも理解しておかなければなりません。
介護を受けていることによって体力的な衰えも起こりやすいことから、徐々に介助を必要とする場面が増えていくことになります。
また、運動量が減ることによって太ってしまいがちになり、それによって1つ1つの介助にかかる肉体的負担が大きくなるのです。
また、精神的な面でもだんだんと思考力や記憶力が低下してしまいやすく、もともとは自分で身体を支えようと頑張っていたものの、任せきりになって介護をする側への負担が大きくなりやすいという特徴があります。
身内だからこそ安心してしまうというところや甘える気持ちがあるというところもこういった状況を助長しやすいものです。
また、介護を受けるような状況になると身体の抵抗力も低下しているために感染症にもかかりやすくなります。
その介護を日常的に行っているとそれをうつされてしまうことも多くなりますが、それでもなお介護を行っていかなければならないのも肉体的な負担を悪化させる要因となるものです。
こういった観点から、施設介護をうまく利用してプロの力を借りていくということが重要になります。
施設介護を利用すれば介護離職を行わなくとも仕事との両立を行っていける可能性も十分にあることから、介護を必要とする人が身近にあらわれたときには考慮してみるべき選択肢と言えるでしょう。