介護保険法の規定によるグループホームについては、正式には認知症対応型共同生活介護と言い、許認可権限を市町村が有する地域密着型サービスの一つです。
重要なポイントは、名称の通り認知症とありますので、主治医等により認知症と診断された人だけが対象の老人ホームということになります。
このグループホームは、旧制度下にあっては至る所に新設され、市町村の介護保険財政を圧迫する原因になったものです。
そのため、介護保険法を所管する国、厚生労働省にあっては、新設について厳しく審査を行う事としました。
具体的には、そのグループホームを立ち上げたい市町村に対して、新築しても良いかどうかの伺いを事業所側が行います。
ここですでに審査が通らなければ新築は許可されません。
また、新設が出来た場合であっても、余りにも大きな老人ホームには出来ない制限がすでに存在します。
旧制度下特に平成14年頃までは、2ユニットよりも多くのユニットでも認められているところが存在するのに対して、現在では余りにも多くなりすぎたために、その市町村が必要であれば認可する体制へとシフトしたわけです。
つまり、介護保険法での認可を受けることが非常に厳しくなったことはあらかじめよく知っておかなければいけません。
さらに、運営主体が民間企業等よりは、社会福祉法人等の方が認められやすい傾向にあることも知っておくことが大事です。
つまり、グループホームの数がその地域に足りていると行政が判断したり、あるいは民間企業のように営利だけを目的とするところでは、いざ利益が出なくなった場合における事業からの撤退を嫌う傾向が行政にはあるわけです。
グループホームの入居の条件
実際の入居の条件としては、要介護1以上であることと、ある程度身の回りのことは自分で出来る人であることが求められます。
つまり、認知症ではあっても、ある程度健康で自立した生活が出来る人を対象とするため、事業の名称の通り、認知症の人みんなが共同生活を送りながら、その認知症の進行を遅らせたり、あるいは改善を図っていきましょうという考え方をする事業であるということです。
基本的には、寝たきりの人などは受け入れてもらえませんので注意が必要です。
グループホームにかかる費用
入居費用等は有料老人ホームほどには高くはありません。
年金を普通にもらえる人であれば、事足りる程度で済むものです。
しかしながら、体調を壊して入院等をする場合には、場合によっては退去になることなども知っておく必要があります。
さらに、共同生活の中で余りにも他者に迷惑を掛ける場合には、基本的には禁止されていますが、退去を言われる可能性はありますので、家族等も了解の下で決める必要があります。
問題なのは、この老人ホームが足りている地域と足りていない地域とで差があるという点です。
しかも、高齢化が進み、平均寿命が長くなっている分だけいったん入所したら、元の住宅に戻ることがなかなかないことも知っておくことが求められます。
この施設への費用自体は、要介護度に応じた毎月の費用負担と食費、その他雑費などから構成されており、一般的には十分支払が可能な金額に抑えられていると言って良いでしょう。
ただ、住民票がある、すなわち居住地にこの施設がない場合、あるいは入居者が一杯の場合には、他の地域に住民票を移すなどして空いているグループホームへの入居を考えないといけないなどの問題も生じています。
もし、入居に際して疑問点や、あるいはその他費用について分かりにくい場合には、地域にある在宅介護支援センター、あるいは市町村役場に問い合わせてみるのも有効です。
要介護度に応じての費用負担が基本になるので、それ以上の物については、事業所側から必ず説明があります。
本人及びその家族に対して、最初に重要事項説明書を交付してその内容を説明し、同意を得てからでなければ基本的には入居は出来ません。
そのため、最初に説明をしっかりと聞いて判断をすることが求められますが、切羽詰まったときにはなかなか説明が頭の中に入ってこないことも考えられます。
したがって、介護が必要になるかもと思ったときには、なるべく早めに介護保険の制度などの理解を行っておくことが求められるところです。
認知症の場合、在宅でも介護を行う事がありますが、家族やヘルパーなどがずっと見守っていれば問題はないかも知れませんが、軽度の場合はともかく重度になって、夜間の徘徊などについては対応が出来ないこともあり得ます。
したがって、この施設への入居を考えた方が良い場合があることはしっかりと認識をしなければいけません。
共同生活が出来ることが前提の施設ですが、夜間の徘徊などで施設側が身体拘束を行う可能性も捨てきれません。
このような点についても、事前によく学んでおくことが入居者及びその家族には求められています。
特に虐待の危険性が生じる話ですので、身体拘束については事業所がどう考えているのかをあらかじめ確認をする必要があります。