現在、日本の高齢化は、世界でも例をみないスピードで進行しています。
高齢者が総人口に占める割合は、25.0%となっていますので、4人に1人は高齢者ということになります。
そして、高齢化に伴って、身体機能が衰えた方の介護問題が深刻な社会問題となっています。
家族の介護のために、転職したり介護離職する人が増加傾向にあります。
自宅介護には家族の介護力が必要です
自宅介護で最期まで生きるということは、諸条件が揃わなければハードルが高く、自宅介護に限界を感じて、しんどい日々に悩んでいる方も非常に多いのが現状です。
ある介護の専門家は、日本の在宅ケア制度は、心身共に強健な鉄人の家族の存在を前提としていると訴えています。
自宅での介護は、想像以上に大変であり、歳を重ねるごとに介護される側も、状態が良くなる可能性は低くなりますので、介護の負担もさらに大きくなります。
自宅介護に限界を感じた時が、介護施設への入所を考えるタイミングのひとつとなります。
介護施設に入居させると決断するまでには葛藤される方も多いのですが、施設に入居しても親孝行はできます。
自宅介護に限界を感じるまで、頑張った後の選択となりますので自分を責める必要はないというのが、介護専門職の方のアドバイスでもあります。
国民生活基礎調査によれば、おもな介護者は6割以上が、同居している家族となっています。
内訳は、配偶者、子供、子供の配偶者という順になっています。
そのうち女性が70%ほどの割合を占めており、介護者は女性が圧倒的に多いのが現状です。
しかし、子供の数が減り、単身者も増え、息子が親の介護者になるケースも増加しています。
そのような背景から、介護離職という問題が表面化するようになりました。
要介護4以上になると、自宅介護している方の半数が、終日介護をしています。
一時も気が抜けない介護を行う精神的な負担は、相当なものとなります。
介護離職のリスク
介護するために介護離職した場合には、一旦仕事を辞めると再就職は難しくなりますし、介護を優先させるために介護しやすい仕事に転職しても、給料はダウンしてしまうのが現実です。
介護離職せずに、「介護休業」を申請した場合には、制度で保障されている期間は、最大で93日間となっています。
自宅介護を行う場合には、不十分な制度なのですが、そもそも介護休業の制度は、介護と仕事の両立に必要な準備をするための休暇・休業を確保することを目的に、設けられた制度となりますので、自宅介護のためにこの制度を利用することは難しいのが現状です。
介護を理由に離職を決める場合には、介護疲れによる介護うつや、虐待のリスク、経済的基盤がもろくなることへのリスク、離職してブランクが長くなればなるほど、再就職が難しくなるリスクを十分に考慮した上で、介護離職を決断するようにしましょう。
介護が長期化すればするほど、これらのリスクは高くなります。