
一昔前には、高齢者の生活という意味では、介護施設で過ごすということをイメージした対策が国レベルでも考えられていました。
少なくとも介護保険制度ができた当初はそうであったはずです。
誰しもがいずれは身体が不自由になったり、認知症が進んだりしたことを想定すると、個人の家庭で生活するというのは無理があるという判断でもありました。
したがって、介護付き有料老人ホームなど、高齢者向けの施設がそれこそ雨後の筍のごとく誕生していました。
国がバックアップする形でもあり、そういった施設を建設し運営するというのもビジネスとして成り立つという採算面もあったからと言えます。
だから、病院やそれまでの老人向け施設の仕事をしているところもそうですが、それとは別に、門外漢であるはずの居酒屋チェーン店なども進出しましたし、建築業者もここぞとばかり一挙に進出したわけです。
同様に介護に携わる人たちが沢山必要となり、そういう職種につく人も増えてきていました。
ところが今は趣が異なって来ています。どちらかというと、施設で老後を過ごすことを奨励するというよりは、家庭で家族が介護の面倒も見ながら生活させるという方に重点が移動してきているようになって来ています。
この先はどういう展開になるか、読みにくいところですが、有料の老人ホームの生活を検討する場合、こうした経緯やそのほかのことも含めて全体的に検討する必要がでてきていると言えます。
ここで暮らすのがもっとも適している人は、病気もなく、身体もまだまだ元気という人たちです。
これまでは戸建て住宅にし住んでいたが、子供たちも巣立ったので、夫婦二人だけでのんびりと生活しようという場合、戸建てにいるよりも、三食の支度もなく、植木や建物保守の心配もしなくていいし、趣味の仲間と生活を楽しむというような場合はうってつけということができるからです。
今の施設は、元気な高齢者にとってはちょっとオーバーに表現すれば天国のような住み心地のところもあります。
しかし、問題は病気になったような場合です。介護が必要になったという場合も介護付き老人ホームであれば、全く問題ないのですが、病院に入院するようになった場合は拠点が二つというケースも発生します。
それで長引くようなことになると費用負担も大変ですし、かといって病院は入院している期間に制限があることもあり、老人ホームへいずれ戻ることを考えれば解約もできないというようなことにもなります。
それと万が一あの世からお迎えが来たときはどうするかということ考えていく必要があります。
引き取り手がないケースは敬遠されがちです。もちろん今は自治体などで保証制度を持っているところもあるので、そういう心配がないところもありますが、すべてがそうではありません。
そして加えて言えば、相続の関係も考えておく必要があります。有料老人ホームは結構な金額がかかりますので、年金や蓄財でいくつまで賄えるかもそうです。
ということで、様々なことを全体的に考えて、どうするかを決定する必要があるのです。